脇線のアイロンがけ(写真1)や袖付けのミシン縫い(写真2)が自動で行われていて、「そんなことまで機械でできるんだ」とびっくりなのですが、それ以上の驚きが、この映像の制作年で、つくられたのは1992年でした。
脇線のアイロンがけ
袖付けのミシン縫い
おお、若い人は、リアルタイムでは見たことないかもしれないけど、ボクにとっては、なつかしの画面比率「3体4」
ボクは、縫製工場の最新事情を直接知る方法がありませんが、少なくとも2025年の今でも、このレベルの自動化は実現していないようです。部分的な自動化(生地の裁断やポケット付けなど)は進んでいるものの、全体としてはあいかわらず人の手による工程が多いです。
現状、機械への投資がわりに合わないんだと思うけど、「服作りは自動化に向かない分野なのかも」
そんな感想を持ちつつ、一方で「もし服作りの自動化が進むなら、こんな方向性かも」と思わせる例を、最近見かけました(写真3)。
「On」のランニングシューズの製造光景
長い糸をグルグルと巻き付けて形を作る工程で、ボクは、ワタ菓子を作る光景を思い出しました。既存の織物や編み物とはまったく異なる製法ですが、もしこの技術を衣服に応用できるよう素材開発が進めば、今の延長線ではない形で、自動化が実現するかもしれません。ニットやフェルトだって「織り」ではないのだから、服が必ずしも、織物で作られている必要はありません。
と、未来の自動化のシナリオを妄想すると、人体を3Dスキャンして、好みの着心地や用途を入力すれば、その場で、ワタ菓子みたいな光景で、「自分専用の服」が出力される光景も思い浮かびますが、仮にそういう技術が確立しても、人々がそれを望むかというと、どうだろう? アスリートが競技で着る服なら、機能的に優れていたら選ばれるだろうけど。それとも、単に値段が安ければ選ばれるのかなあ?
とはいえ、「機能」の価値だけで選ばれるかというと、そんな単純な話はなくて、今より、人の手が関わることの、「感性」の価値が問われるのかもしれません。
自動化の未来は、意外と素朴な手作りの温かみだったりして。
ここは、ちょっと願望も含まれていますが、個人的には、コンピュータでの3Dも好きだけど、究極的には「素朴な手作り」を選びたいです。
※冒頭に記したYouTube動画は、ここをクリックすると別画面で表示されます。
2025年9月23日