山村洋装では、服をつくる前に、まず「服を着ること」について考えます。
便利だから着る。
寒さや暑さをしのぐために着る。
自分らしさを表現するために着る。
どれも間違いではありません。
でも、服を着るという行為には、それだけでは語りきれない何かがあるように思うのです。
私たちは、4つの問いを大切にしています。
調和をもたらすって?
服は、自分のためだけにあるものなのでしょうか。
街を歩くとき。
誰かと向き合うとき。
季節の風景の中に立つとき。
私たちはいつも、誰かや何かと関わりながら生きています。
自分に似合うことは大切です。
でも同じように、その場所や風景に似合うことも大切なのかもしれません。
個性とは、周囲と対立するためのものではなく、調和の中で生きるためのものでもある。
そんなことを考えています。
愛され続けるって?
どんな服も、いつかは古くなります。
流行も変わります。
体型も変わります。
暮らし方も変わります。
それでも手放せない服があります。
その違いは何なのでしょう。
丈夫だからでしょうか。
高価だからでしょうか。
もしかすると、「大切に扱われた記憶」が宿っているからかもしれません。
長く愛される服とは何か。
私たちは、その答えを探しながら服をつくっています。
着ることの幸せって?
新しい服を着ることは楽しい。
流行を楽しむことも素敵です。
でも、幸せとは新しさだけで生まれるものなのでしょうか。
着るたびに落ち着く服があります。
理由はうまく説明できなくても、自分の居場所のように感じる服があります。
それはきっと、服の向こう側にある人の思いや時間と、どこかでつながっているからなのかもしれません。
変わることも幸せ。
変わらないものがあることも幸せ。
私たちは、その両方を大切にしたいと思っています。
自分らしさって?
個性は大切です。
でも、個性はつくるものなのでしょうか。
無理に目立とうとしなくても、
声高に主張しなくても、
日々を丁寧に積み重ねていけば、自然とその人らしさは現れてくるように思います。
花が咲くように。
季節が巡るように。
自分らしさとは、出すものではなく、出るもの。
私たちは、その静かな美しさを形にしたいと考えています。
