山村洋装が着物のリメイクで大切にしていることがあります。
それは、「普通に着られる服」であることです。
着物を洋服に仕立て直すと、つい着物らしさを強調したくなります。美しい柄や独特の形を生かしたいと思うのは自然なことです。でも、その結果として、特別な日にしか着られない服や、どこか民芸品のような存在になってしまうことも少なくありません。
もちろん、長い年月を経て受け継がれてきた着物には、大きな価値があります。そこには技術があり、文化があり、着ていた人の記憶もあります。
でも、その価値を守ることと、使わずにしまっておくことは、少し違うように思うのです。
今では、多くの人にとって着物は日常着ではなくなりました。だからこそ山村洋装では、着物を現代の暮らしの中で自然に着られる洋服へと生まれ変わらせたいと考えています。
普段着ている服と無理なく合わせられること。特別な日に限らず、買い物へ行く日も、友人に会う日も、何気ない日常の中で袖を通せること。
そのため、出来上がった服は、元が着物だったと気付かれないこともあります。でも、それは着物らしさを失ったのではなく、暮らしの中に溶け込むことができたということなのかもしれません。
思い出の詰まった一枚の着物が、形を変えながらも再び人と共に生きる。
記憶を残すだけではなく、これからの時間も一緒に重ねていくこと。
それが、山村洋装の考える着物リメイクです。