山村洋装店ロゴ

山村洋装店

山村洋装店 > テキスト > 難しいのは、難しそうなところでない

アイコン

難しいのは、難しそうなところでない


ボクが学校で教えている学生さんに時々、作品の構造や作り方を、どうすれば良いかを本人が全く理解できていない、難解な作品に挑戦する人がいます。未経験な人や、慣れない人が、そのような難解の構造を目の前にすると、どうやって型紙を作れば良いか分からず、途方に暮れるかもしれません。

こういう場合は、構造的に何が出来て、何が出来ないかを、早い段階で見極めましょう。難解な構造を理解するには、その構造を細かな部分に分割させて、それらを再び組み合わせます。実際に紙の切り貼りをしたり、想像の中でのみ行う、この過程には経験の蓄積が役に立ちます。今すぐ出来なくても、時間をかけると必ず出来ることを意識し、完成のイメージをしておくことが大切です。あとは、順番に解決していくだけです。

これは、時間がかかることかもしれないけど、必ずしも「難しい」わけではありません。「時間がかかる」と「難しい」は、全く意味が違います。


型紙を修正しているところですが、見た目ほど感覚的には行っていません。

型紙を修正しているところですが、見た目ほど感覚的には行っていません。

一方で、ほんとうに難しいのは、当たり前に思える「量(長さ)」を決めることです。

「襟の幅は、これでいいの?」「切り替えの位置は、ここでいいの?」「ポケットの大きさや位置は、これでいいの?」などなど。

難解な構造を理解することに対して「量(長さ)」を決める作業は、必ずしも経験が役に立ちません。時代による変化もあり、逆に、過去の経験が邪魔をすることもあるからです。

「当たり前こそ難しい」ということでしょうか。

さらに「量を決めること」を難しくさせるのが、「一箇所の修正によって、他の箇所の修正する必要がでてくる可能性がある」ことで、この状態が続くと終わりがありません。一箇所の修正によって、求めている答えに達することもありますが、これは単に「運」の問題です。

難しいのは、難しそうに見えるところでなくて、ほんとうに難しいのは、出来上がってしまうと、当たり前に思えるところなのです。


ほんとうに難しいのは、当たり前に思える「量(長さ)」を決めることです

ほんとうに難しいのは、当たり前に思える「量(長さ)」を決めることです