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裏から見て「裏切られた」とは思われない、裏地の構造を考える
裏地付きの洋服をつくるときには、すでに出来上がっている同じ構造の洋服を参考にするとよいと思いますが、デザインによっては、いちから考える必要があります。また、参考にするにせよ、同じ構造なら、裏地の構造が同じであるとは限りませんし、時代による変化もあります。こういうときには一度、基本的なルールについて考えてみるとよいでしょう。
裏地の構造を考えるときに基本になるルールは、「あとで、裏地を取り換えやすくしておく」ことです。
つまり、裏地を取り換えたり、縫いなおしたりするときに、表地どおしの縫い目まで解かなくてもよい構造で、現実には、あとで裏地を取り換える可能性は少ないですけど、上記の構造は保険になります。
図1のように、縫う順番によって印象にあまり違いのない箇所では、あとで裏地を取り換えることを想定しましょう。
1、縫う順番は、デザインの問題でもあるけど、合理性の問題でもある
一方で、このルールにこだわりすぎることの弊害もあります。
まず、デザインの制約が増えます。図2のような縫製仕様でつくることができるデザインは限られています。
2、表地と裏地をそれぞれ完成させて、最後に縫い合わせる
まず、デザインの制約が増えます。図2のような縫製仕様でつくることができるデザインは限られています。
そのことを除くと、弊害のひとつは、裏側に表地を使うことにより、本来は薄く軽く仕上げたい箇所が、厚く重くなること、もうひとつは、余分に手間がかかることです。
ただ、これらのルールは、時代とともにこだわらなくなる傾向にはあります。
手間をかけてまで裏地を取り換えたいと思う人が少なくなってきたことや、軽い服がより好まれてきていること、表地の耐久性が減りつつあることなどが原因で、今の時点でどこまでルールにこだわるべきかは分かりませんが、あまりにルールの理解から離れてしまうと、「安易なつくり方」という印象になります。
時代とともに、「あとで、裏地を取り換えやすくしておく」ための手間をかけなくなりつつあり、それ自体は肯定すべきでしょうけど、裏側の構造を考えることの手間は、惜しむべきではありません。
合理性を追求しつつも、安易なつくり方はしない。これは作り手の責任です。
