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「変わるデザイン」と「変わらないデザイン」


「デザイン」って、意味としては問題解決を指す言葉で、最近、そういう本来の広い意味で使われることが増えました。ただここでは、その中でも色や形を整えることとしてのデザインについて考えてみます。

新しい製品が登場したとき、どのような変化に注目するかは、分野によって大きく異なります。
例えば、スマートフォンやノートパソコンでは、新旧の製品を並べて細かな違いを比較することがよくあります。本体が1ミリ薄くなった、角の丸みが少し変わった、といった変化も注目の対象になります。見た目に大きな変化がないことの結果だともいえ、ほとんど区別のつなかいモデルチェンジもあります。
一方で、家電や自動車は、ある程度大きな変化がなければ新製品として登場しない傾向があります。性能向上だけでは買い替えにつながりにくく、また機能の進化がデザインの変化と結び付いている場合も多いためです。

洋服も同様に、実際には細かな改良が積み重ねられています。身幅が数ミリ変わる、ボタン位置が少し調整されるといった変化は珍しくありません。ただ、特に婦人服では、そのような細部の違いが話題になることは少ないように感じます。対して紳士服の世界では、襟幅やボタン位置などのわずかな違いに注目する文化があります。

そんな中で気になるのが着物です。着物の世界では、「形を変える」という発想そのものがあまり見られません。もちろん、まったく別の形にする必要はないでしょう。でも、時代に合わせて少しずつ見直したり修正したりする余地はあってもよいはずです。
少なくとも、「形を変える」という選択肢そのものを排除してしまうと、思考停止に陥る危険があります。

デザインの変化には、大きく二つのパターンがあります。劇的に変わることと、少しずつ変わることです。これは進化論における突然変異と自然淘汰の関係にも似ています。

個人的には、洋服の世界は劇的な変化ばかりが注目されすぎているように思います。本来は、何が変わり、何が変わらずに受け継がれているのかという、デザインの継続性や普遍性にも目を向ける価値があるのではないでしょうか。
そして着物の世界では、「大きく変える」か「まったく変えない」かという二択になってしまった結果、少しずつ変化させるという選択肢が失われているようにも見えます。

「普遍」や「伝統」という言葉も、意外と短い期間を指していることがあります。例えば、変わらないことの始まりが「戦後」という場合、その期間は約80年です。それを伝統と呼ぶのに十分かどうかは分野によって異なりそうです。

一方で、まったく変化しないデザインというものも存在しません。特に人が使い続けるもの、暮らしの中で生きるものは、少しずつ姿を変えながら受け継がれていきます。伝統的な日本建築も、平安時代からまったく同じ形のまま残っているわけではありません。
分野ごとにデザインの変化の捉え方が異なるのは、それぞれの世界が長い時間をかけて環境に適応してきた結果です。そこに絶対的な正解はありません。
だからこそ、自分の専門分野だけでなく、他の分野ではデザインの変化をどのように捉えているのかを知ることには意味があります。そこから見えてくるものも少なくないはずです。

デザインは、変わってもよいし、変わらなくてもよい。ただし、毎回大きく変わらなければならないわけでもなければ、永久に変わってはいけないものでもありません。
極端な変化や極端な不変は注目を集めやすいものです。でも実際には、その間にある「ちょうど良い変化」を探り続けることこそが、デザインの大切な役割なのだと思います。

「変わるデザイン」と「変わらないデザイン」

「変わるデザイン」と「変わらないデザイン」


2026年7月21日