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リアルに触れる


先日、二日続けて生地屋へ足を運びました。
一日目は大阪・船場の小さな専門店が並ぶ街へ。二日目は、生地から付属品まで一通り揃う大型店へ。
特に明確な目的があったわけではなく、購入したのはデニム生地やロックミシンの糸など、そこでしか手に入いらないようなものはありませんでした。買い物の内容だけを見れば、ネットショップで十分に済むものです。時間や手間を考えれば、むしろネットの方が便利かもしれません。

それでも、実際に足を運ぶ価値があります。

洋服づくりでは、一つの作品が多くの素材によって成り立っています。まず主役となる生地を選び、それに合わせて裏地や芯地、付属品を決めていくのですが、その組み合わせはとても繊細です。
画面越しでは色や質感の微妙な違いを判断することが難しく、実物を見て初めて分かることも少なくありません。
もちろん、最初の生地選び自体も簡単ではありません。でも、生地のイメージが少し違っていても、デザインや仕立て方を工夫することで対応できる場合があります。

つまり、「何とかなる」。

一方で、素材同士の相性は、あとで何とかなりにくい。だからこそ、実際に並べて見たり、触れたりすることが大切になります。

また、お店では生地だけを見ているわけではありません。他のお客さんがどんな話をしているのか、どのように素材を選んでいるのか、そんなことも自然と目や耳に入ります。
それが具体的にどのように役立っているのか、自分でもうまく説明はできません。でも、ものづくりを続ける中で、何かの参考になっている気がします。

自分では比較的、幅広いものを作っているつもりです。それでも実際に使う素材は限られていて、気が付けば「いつもの生地」「いつもの材料」を選びがちです。

だからこそ、ときどき実物を見に行くことが大切なのだと思います。 たとえば芯地のような材料は、品質が品番で管理されているので、本来なら触る必要すらありません。それでも実際に手に取ると、新しい使い方や作品のイメージが浮かぶことがあります。

そう考えていくと、リアルな場所に足を運ぶ価値は、単に商品を見ることではなく、「触れること」にあるのかもしれません。
ぼくたちは何を基準にものを選んでいるのでしょうか。
色や形だけではなく、手触りや重さ、柔らかさといった感覚も、知らず知らずのうちに大きな役割を果たしているように思います。

ネットはネット便利ですし、今では事実上ネットでしか手に入らないものもたくさんあります。
それでも現時点では、画面だけでは伝わらない部分があります。
未来になれば、人間の方がよりネット上の情報から素材を選ぶことに慣れていくのかもしれません。
それでも、実際に見て、手で触れて確かめることを大切にしていきたいと思います。

リアルに触れる
ものづくりは、手で作るだけではなく、手で選ぶところから始まっている、と思うからです。

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2026年9月07日